スタジオヴォイス「ポスト・ジャズのサウンド・テクスチュア」

まぁなんだ、ボアダムスやらグラウンドゼロやらが5,6年前くらいにいたであろう音楽業界的ポジションのモノを取り上げている感じで。あとはそこ周辺を扱っているけど、そこは「金のなる木」を護る防波堤、といったところ。以前なら、ミュージックマガジンやREMIXあたりがあぶく銭を稼いでは手のひらを返した資金調達方法って感じで。とりあえずコイツらにはホリエモン外資系ファンドを非難する資格は無い。
無意識では「ポジション」指向で発想しているため、モノホンなジャズから明らかにジャズじゃないオフサイト系まで、本書の「ジャズ」というジャンルからすればありえない組み合わせも平然と行われている。
こういう現象が起こるのは、メディアが悪いのか消費者が悪いのか、時々分からなくなる。別にどっちかが悪いと決めなくてもいいんだけど、そんなこと言い出したら世の中に悪いことなんて無くなっちまうから敢えて決めるんだけど。
文化事業は非科学性な部分が多い(最近読んだ野口悠紀雄風にいう「マゼラン的」)ため、やはり肝は「表現・解釈を可能な限り制限しない」ことにあると思う。その点ではメディアが悪い。メディアは「消費者が求めるから」と言うだろうが、情報がフラットでない前提がある以上、その罪は決して軽減されない。それを知った上でさらに言ってるからつくづく使えないもので。僕にどんなノウハウや資金があっても一生作れないであろう一冊。金返せ。